アメリカに来てから、アメリカ人が怒らないことに気が付きました。
厳密に言うと、怒る人ももちろんいます。ただ、声を荒げて怒っている人は見たことがありません。アメリカ人て、感情表現が豊かで、怒ったときもやっぱりちゃんと表現するんでしょうと思っていましたが、むしろ逆です。
アメリカでは、人前で怒鳴る行為はNG。友達でも家族でも、子どもにもダメです。また、怒鳴らないまでも少しの怒りもあまり出さないのですが、これには怒りに対する考え方が日本のそれと違うように思います。
誰のせいでもないこと
物事がうまくいかなかったり、期待した通りに進まなかったりすると、ついイライラしてしまいがちです。でも、アメリカ人は「誰のせいでもなく、怒っても仕方がないこと」とこの状況を受け入れることができます。なので、クレームを言っても仕方ないと考える人が多い。
先日、娘のスイミングの登録に朝の5:00から列に並んだときのことです。市で運営しているスイミングレッスンは毎月の登録が必要で、今が夏休みのアメリカでは、子どもをスイミングに通わせるために、いつもより多くの人が並んでいました。
私の前には既に15人ほど並んでいたのですが、なんとか滑り込めるだろうと思っていました。ところが時間になっても列はなかなか進まず、2時間も外で待っていました。いつもなら数分で終わる登録。でも誰も文句を言っている人はいません。
あと数人のところで、係の人がやってきて、まだスポットはあるから大丈夫と言っていたので安心していたのですが、数分後、定員いっぱいになったので、受付は終了と言われました。「え?2時間も待ったのに?」とついクレームを言ってしまいそうになりましたが、「仕方ないね」とみんな帰っていきます。
日本なら大騒ぎになりそうですが、アメリカではこういう場合にクレームを言っても通用しないのです。
人生にはいろいろある
なんとなく朝から機嫌が悪く、イライラする。自分も含め、そういう人に出会うことは珍しくないですよね。そんなときも、「そういう日もあるよね」と考えます。機嫌が悪いことがよくないのではなく、今日は機嫌が悪いのだから仕方ないと寛容に受け取るのです。
スーパーのレジでイラつかれたり、レストランでウェイターの態度がよくなかったり、娘の学校の先生の機嫌が悪くて話を聞いてもらえなかったり。そんなことがあると、なんだかこちらも嫌な気持ちになって気分が落ち込んでしまいます。
それでも、長い人生のうちに悪い日もあるのが当たり前だからと受け流せるのがアメリカ人なのです。
誰にでも間違いはある
間違えてやってしまったこと、故意ではなく何かが起きてしまうこと、ありますよね。誰でも間違いは起こし得るので、間違いが起こったとき、ミスをしてしまった場合も許すのが当たり前。ミスした人を怒ったり、怒鳴ったりする人はまずいません。
レストランで注文してものがなかなか来なかったり、間違ったものを出されても、文句を言う人はほとんどいません。よく日本のお店などで大きな声で怒っているおじさんをよく見かけますが、アメリカではNGです。とにかく怒らないで冷静でいることが大切なのです。
よく娘がテーブルの上に水や食べ物をこぼしてしまったときに、ついネチネチ文句を言ってしまいがちですが、そういうところも改めるのが必要ですね。
さいごに
アメリカ人は怒らないわけではなく、怒りをコントロールしている人が多いようです。そういえば、声が大きいアメリカ人ですが、怒鳴る人がいないだけで静かだなーと感じます。
人前で怒りを表していないだけで、本当はどのくらい怒っているのか。異文化を理解できるようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。